梅木 正一・郷子

梅木正一さん、郷子さん近影

観光農園を通じて環境保全型農業の必要性を伝えていきたい

プロフィール

梅木 正一(うめき しょういち)さん/昭和34年、阿蘇郡南小国町生まれ。梅木 郷子(うめき きょうこ)さん/昭和33年、八代市生まれ。
郷子さんが、保育士として小国学園に勤務していた時、ボランティアサークルを通じて正一さんと知り合い、昭和60年に結婚。平成2年に『アップルミントハーブ農園』を開園。現在、夫婦2人と数名のスタッフで、農園とレストランを切り盛りしている。

きっかけ

レストラン「風のもり」を営む郷子さんの画像ある日、ふと南小国のことを町外の人に知ってもらうために何ができるかを考えてみたんです。ほとんどの家が農家ですが、一般に開放された農園はありません。町内の人にとっては何気ない畑でも、阿蘇の自然を求めてくる人にとっては、かけがえのない資源ではないかと思ったんです。
代々行っていた慣行栽培から、無農薬、無化学肥料、無除草栽培を実践する「自然栽培」に転換しました。農薬などを使わないということは、体に優しいということだけでなく、汚染など、自然環境へのダメージもおさえることができます。
結婚してしばらくしたある日、新聞で、熊本市内でハーブに関する会合が開かれるという記事を見つけました。今でこそハーブは、料理に使ったり、家庭菜園で育てられているメジャーな存在ですが、20年ほど前は知る人は少なかったと思います。農園の特徴にもなると思い、2人で会合に参加しました。

理想の農園

慣行栽培と自然栽培のいずれも善悪はつけられないと思うんです。代々農家でしたから、化学肥料のおかげで収穫量が安定することもわかっていました。でも、有機肥料すら使うのをやめたのは、筑後川の源流に近い場所に農園があり、川の水を汚したくなかったからです。今思えば、農業を通じて地域を良くしていきたいという思いも強かったようです。加えて開園当初にあったりんごをやめてブルーベリー畑にしたのも、全ての作物を無農薬だと自信をもってお客様に提供したい気持ちが強かったから。私が育てた結果では、リンゴは、少量ですが農薬を使用しないと花が咲いても実をつけないんです。青森などで無農薬でリンゴが育ったという事例がありますが、私の農園では育てることができませんでした。「木が200本もあるのになくすなんてもったいない」という方もいましたが、私の理想の農園のためには、これで良かったと思います。

今後の目標・夢

手作りリース体験教室の画像生まれてからずっと同じ場所で農業を続けていると、時々ですが、正直「これでいいのかな?」と、不安に思う時もあります。そんな時、ウーフーや観光客数の多さ、関心の高さから、南小国の農業には人を集める力があるということを、町外の人から教えてもらっていることを感じ、これで良かったと確信します。これからも農園という場所で、食べる時に安心なだけでなく、自然環境を大切にする農業のあり方「環境保全型農業」を伝えていきます。

  • このページの原稿と写真は公益財団法人グリーンストック発行「草原だより Vol.41」より抜粋いたしました。
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