プロフィール
市原啓吉(いちはらけいきち)さん/昭和25年、一の宮町(現阿蘇市)生まれ。昭和45年から2年間、農林省の派米研修生として渡米。農業の実習をしながら大学へ通い、アメリカの農業と共に放牧の大切さを学ぶ。帰国後は阿蘇で放牧をはじめ、有畜農家に放牧をすすめる活動を行う。平成十年から町古閑牧野組合組合長。趣味は草原を歩くこと。阿蘇市生涯学習講座「草原を歩いて阿蘇の宝物を見つけよう」の講師も務めている。
野焼き
20年前までは98名いた組合員も、今ではその半分。平均年齢も70歳になっています。急斜面が多い地形ですから、通常は2日間くらいで済む輪地切りが10日もかかってしまいます。高齢で仕事ができない人も多く、輪地切り・野焼きの安全確保のためにも、ボランティアの皆さんの存在が大きくなっています。私自身も、ボランティアを依頼する前、野焼きの途中で飛び火して、 山火事を出したことがあります。そういったことは人手が多ければ防げたことなんです。
草原にふれる機会
野焼きボランティアの方々とそのご家族との交流会、修学旅行生には景色や、乗馬で雄大な阿蘇の草原を 体感してもらい、地元の小中高校生には、野焼き体験や職業体験という形で参加してもらっています。私たちが子どもたちとの交流に取り組むのは、阿蘇の草原のすばらしさを知ってほしいから。特に、自分のふるさとに誇りを持てるように子どもたちに実感してほしいですね。
東京や京都の大学生が阿蘇を訪れ、草原の研究を行うなど、草原には研究材料も、学べることもたくさんあります。また、牧草や野草は牛のエサや敷草に、野草の一部は燃料や野草堆肥にと、草原の野草を活かすことは環境にも 優しい取り組み。さらに、草原には希少な草花や昆虫なども生息しています。宝物がたくさんある阿蘇の草原を 誇りに思い、後世に受け継いでいってほしいという願いを込めています。
- このページの原稿と写真は公益財団法人グリーンストック発行「草原だより Vol.43(2010年1月1日発行)」より抜粋いたしました。
- 「草原だより」の詳細・ご購読についてはwww.asogreenstock.com/magazine/をご覧ください