井 廣明

井 廣明さん近影

棚田と水源のある豊かな地域ではじめた草原再生と都市との交流

プロフィール

井 廣明(い ひろあき)さん/昭和24年、牧畜農家の三代目として産山村で生まれる。現在は、西原牧野組合長、中山間山吹集落協定代表、産山いなか塾運営委員を務め、精力的に産直活動を行う。ご両親に奥様、三人の息子さんと、家族全員が牛が大好きという一家。

 

草原再生

この地域は山間部であるため多くの急傾斜地があります。このため野焼きをしなくなった土地、後継者が村外に出てしまったために手入れをせず放置された土地、廃屋も目立つようになりました。原野は、あか牛の放牧地であり、冬場はその草で牛を飼い、牛のたい肥で米を作ります。土地が健やかでないとその循環が崩れるわけですから、原野の管理を第一に考えないといけません。

都市との交流

daichi_07外から人を受け入れることは、いろんなことを私たちに教えてくれます。都会に住む人にとって、自分で育てた野菜のおいしさを知り、豊かな自然のすばらしさを知ることは、なかなかできない体験です。最初は家族の反対もありましたが、徐々に理解してくれるようになりました。今は、ゲストハウスを建設しようと家族を説得中です(笑)。

今後の活動

豊かさとは、金銭的なものだけではないと思い知らされます。水田の草刈りも、ほかの地域の人を受け入れることも、それまでは気づかなかった産山の魅力を教えてくれました。この地域は、扇田をはじめ山吹水源の恩恵を受けて生活しています。昔の人たちは、水源の水を棚田まで引き、米作りを続けてきました。その苦労を想像すると、小さな棚田でも捨てられません。扇田や山吹水源を守り続け、草原の再生に努める。それが産山の魅力作りに欠かせないと思います。

  • このページの原稿と写真は公益財団法人グリーンストック発行「草原だより Vol.30」より抜粋いたしました。
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