谷川 洋一

谷川 洋一さん近影

理論的な栽培方法で食味や収量のレベルを上げ地域の核となる農業法人に

プロフィール

谷川 洋一(たにがわ よういち)さん/昭和60年、高森町生まれ。熊本農業高校を卒業後、久留米農業試験場で研修。20歳で高森に戻り、就農。22歳で『谷川トマト研究所』を設立し、ミニトマトの栽培をスタート。23歳で結婚し、現在4歳の長女、2歳の長男の父。祖母、両親の三世代で、高森町で暮らす。趣味はサッカーで、ポジションは中盤。

就農のきっかけ

ミニトマトの画像祖父の代からの農家で、子供の頃は、汚れるしきつい仕事だし、農家にコンプレックスを持っていました。実家に帰ったのは20歳の頃、ミニトマトを作ってみないかといわれ、まだ珍しかったプラム型のトマト栽培に取り組み始めました。さまざまな品種の苗を仕入れては育て、海外の品種にも挑戦しました。やはり日本の土壌には日本の品種が合うようで、今では赤色のアイコ、黄色のアイコ、トスカーナバイオレット、ハート形のトマトベリーなど、日本の品種を中心に育てています。

“負けを少なくしたい”

作業風景の画像3年前、農業関係の貢献者を表彰する「熊本県農業コンクール」で新人賞を受賞しました。その時、阿蘇を世界農業遺産に導いた宮本けんしんさんの店「リストランテ・ミヤモト」をはじめ、「ティア」、東京の「国立ファーム」など。旬の食材にこだわる店が多く、ニーズに応えられるような栽培を心掛けています。

そのため、2~3年前から栄養周期理論を勉強しています。農業は、作って満足することが多いので、理論を勉強することが少ない。「今年は天気が悪かったから食味が良くない」「天候に恵まれたから美味しい物ができた」ではなく、天候不順の年でも良いトマトに仕上げるための方法が何かあるはず。例えば、これまでは草原再生の野草堆肥を元肥に使っていましたが、今年は腐植を元肥、追肥で野草堆肥を使い、苗が栄養を吸収しやすいよう工夫しました。1年1年が勝負なので、質のいいトマトを収穫するために学ぶことで、“負け”を少なくしたいと思っています。

今後の展望

就農して、これまで順調に規模を拡大し売り上げも伸びました。しかし、一方で利益率が下がり、作業効率も低下したこともあり、きちんとした技術を身に付けようと理論を学びはじめました。植物体に合った栽培で、形だけではなく栄養価も高く、収量も上がるようにしていきたいですね。

関西の生協と取引していますので、産直集会に参加して消費者の声を聞いたりすることも大切にしたいと考えています。

環境的な要素もあるので難しい面も多いのですが、安全で美味しい作物を作る技術者と経営者をそろえた組織を作り、ゆくゆくは南阿蘇のトマトを統一ブランドで売り出すことが夢です。

  • このページの原稿と写真は公益財団法人グリーンストック発行「草原だより Vol.60」より抜粋いたしました。
  • 草原だより」の詳細・ご購読についてはwww.asogreenstock.com/magazine/をご覧ください。