瀬川 耕太

瀬川耕太さん近影

阿蘇の人と自然に見守られながら家族とともに笑顔で農業を続けたい

プロフィール

瀬川 耕太(せがわ こうた)さん/昭和48年、栃木県に生まれ。筑波大学在学中に現南阿蘇村の「ぽっこわぱ耕文舎」で研修し、大学卒業後、東京の企業に2年間勤務。再び同農園で研修して11年前に独立し、「たのくろ農園」を開く。同年、同じ研修生だった新潟県生まれの恵佳さんと結婚。3人の子どもと暮らす。個人宅への野菜の配達を行う。ぽっこわぱ耕文舎共同生産者グループ、NPO法人日本バイオダイナミック協会会員。

「そうだ、阿蘇がある」

家族の画像関東の大学で比較文化学を学んでいた時、様々な地域で様々な人が、それぞれの生活を大切にしながら暮らしていることに興味を持ちました。
阿蘇に宇宙の観測をしながら農業を行っている方がいると聞いて、夏休みにリュックを背負って訪ねたんです。そこが、ドニー・ピリオさんと假野祥子さんがバイオダイナミック農法で農業を営まれている「ぽっこわぱ耕文舎」です。
1ヶ月ほど農業を手伝いながら一緒に食事をし、収穫した野菜を届ける生活は新鮮でした。ドニーさんたちは好きな仕事をして輝いていて、その姿は揺るぎなく前向きで明るかったんです。
しかし、大学卒業後は、憧れもあって東京の企業に就職。2年ほど勤めたのですが、行き詰まりを感じるようになりました。そんな時、南阿蘇で知り合った友人が遊びに来てくれ、阿蘇で豊かに過ごした時間と楽しかった気持ちを思い起こさせられたんです。
「そうだ、阿蘇がある」と思い、もう一度きちんとドニーさんのもとで勉強したいと思いました。

次の時代に繋がっていく農業

当初はバイオダイナミック農法の背景に興味があったのですが、今は自然の摂理を参考に、リズムに合せて野菜を育て、次の時代に繋がっていく農業・経営も含め農業の実践を大切にしたい考えています。
自分たちが苦労も含めて生活を楽しみ、健康でいられることを大事に野菜を育てていることは、その野菜を買ってくれる方に伝わると思っています。周囲の方たちに支えられて生きていく中で、自分なりに人間として成長したいという気持ちでいます。

農業は他の仕事と同様、日々学びの場であると思います。きちんと野菜を届けるために収穫時期をずらす技術、土づくり、肥料のこと・・・。それを探りながら、消費者との信頼関係を築いていきたいですね。安全であることを伝える努力をしたいとは思っていますが、それは言葉ではなく、育てた野菜や自分たちの暮らし方を通して伝わるものと考えています。

今後の展望

咲き乱れる山野草農業は懐が深くて広い。個人的には悩みながら何事も挑戦してみるしかないと思っています。これまで支えてくれた方々との出会い、思い出があり。繋がりがある阿蘇に住み続けるつもりです。人間のつながりを通して見える阿蘇の環境が見守っていてくれると感じているからこそ、ここまで続けることができました。

そして今後は、もっと仲間が増えることに期待しています。阿蘇の外から農業に興味を持って来る若い人たちに、自宅に滞在してもらい、交流したいという気持ちもあり、自宅にゲストハウスを建設中です。今度は私が受け入れられる環境を作りたいと考えています。

  • このページの原稿と写真は公益財団法人グリーンストック発行「草原だより Vol.55」より抜粋いたしました。
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