久保田 裕則

久保田裕則さん近影

自然農法や加工のノウハウを生かし障がい者だけでなくさまざまな人の居場所づくりに貢献

プロフィール

久保田 裕則(くぼたひろのり)さん/
昭和43年、阿蘇郡西原村生まれ。高校を卒業後、東京芸大を目指して上京するも断念。埼玉県で自然農法を学び、平成10年に帰郷。実家で米と野菜作りを始める。平成16年11月に「障がいを持つ人へのバリアのない西原づくり」「ワークショップに参加し、平成17年「たんぽぽハウス」初代応援団長に就任。平成21年からスタッフになり、職業指導員として活動。両親と姉と西原村に在住。

たんぽぽの穂綿

子どもたちの田植えの様子を写した画像西原村には小さな障がい者団体が4つあり、これを一つにまとめて活動できないか、また、みんなが利用できる作業所を作るにはどうすればいいかと、平成16年11月から平成17年2月にかけてワークショップが開かれました。たまたま居合わせていて声を掛けられたのがきっかけです。
「仕事づくり、心づくり、居場所づくり」の3つをテーマに話し合い、村民全員で応援しようと話が盛り上がりました。応援団は村民全員。応援団長を誰にするかという時、無理矢理私と決められて(笑)。名前は、「地域のより多くの人に関心を持ってもらおう」と、公募することに。
たんぽぽの穂綿が散らばるよう、福祉の輪が広がっていくようにと、名付けられました。

ボランティアの輪

収穫風景の画像施設長がいろいろな所に声を掛け、交流も盛んに行っています。地元の山西小学校の子どもたちが、草取りの時期に手伝いに来てくれるようになって5~6年になります。化学肥料や農薬を使用していない田んぼですから、サワガニ、アカハライモリ、ドジョウなど多種多様な生き物がいて、子供たちは、稲をつぶす勢いではしゃぎます(笑)。卒業式に招待してくれますし、昼食を気軽に食べに来る子もいます。中には、東日本大震災の被災者への募金や、熊本広域大水害で避難した人たちへ炊き出しをしたいと相談に来る子どもも。自主的に「たんぽぽハウス」に来て、ボランティアの輪を広げています。
「たんぽぽハウス」のメンバーもさまざまな交流によって刺激を受けています。皆が自分で考え、自分がやりたい仕事をする。すると動き方も違うし、目も輝いてきます。イキイキしているというか、もう、うるさいくらいです(笑)。

みんなの居場所

加工品の画像「たんぽぽハウス」に関わって10年。93歳のおばあちゃんは83歳のおばあちゃんが支え、83歳のおばあちゃんを20代の青年が面倒を見て・・・。
自然と助け合いの輪が出来上がっていくことに感動しました。また、何にでも一生懸命で手を抜かない。ピュアな方たちに、さまざまなことを学んでいける毎日です。
訪ねてくる人は誰でも受け入れる、敷居の低さでは熊本一の『みんなの居場所』。いろんな人に関心を持ってもらうためにも、風通しのいい家でありたいですね。

  • このページの原稿と写真は公益財団法人グリーンストック発行「草原だより Vol.54」より抜粋いたしました。
  • 草原だより」の詳細・ご購読についてはwww.asogreenstock.com/magazine/をご覧ください。