西村 大悟

西村大悟さん近影"

後継者として畜産を拡大。産山村の自然に支えられた農業を次世代に引き継ぐ

プロフィール

西村 大悟(にしむら )さん/昭和58年、阿蘇郡産山村生まれ。
高校卒業後、茨城県の農業機械の専門学校で指導員として活動。19歳で産山村に戻って家業を継ぎ、米の栽培と畜産に従事。趣味は釣りと子供のころから好きな野球。現在はゴルフを練習中だとか。両親と祖父母の5人暮らし。

きっかけ

我が家は代々農家で、現在、米とパプリカの栽培、畜産を行っています。私は3人兄弟の長男。子供のころから家業を継ぐことを考えていました。父よりも祖母から「後を継げ」と言われてきましたから、家業を継ぐことに対して抵抗はありませんでした。
高校卒業後はいったん産山村を離れ、茨城県の農業機械の専門学校で2年間指導員を経験しました。学校では研修助手として、海外の研修生にトラクターの乗り方などを教えていました。農業機械も好きでしたし、家業を継ぐと決めていたので将来役に立つだろうと思いました。
産山に帰ってからは、夏場の涼しい気候を生かしてできる新しい野菜に取り組みたいという意欲を持ち、パプリカの栽培を始めました。若手の間でも新しい野菜に挑戦する話をよくするんですよ。父も賛成してくれて、親子で栽培しています。

健康にこだわった飼育

産山村には私と同世代の担い手が多いんですよ。田尻地区だけでも7~8人いて、今後も数人が帰って来る予定です。
それぞれにトマトやチンゲン菜などを作っていますが、畜産に携わるのは私だけ。代替わりをする際に畜産をやめるケースも多く、実は父も畜産をやめようとしていました。私が茨木から帰った時には、牛が一頭しかいませんでしたからね。しかし、昔から我が家には牛がいるのが当たり前でしたし、自分自身も牛が好きなんです。自分で一から牛を飼い始めようと決断し、今では母牛が14頭まで増えました。赤牛、黒牛は半々くらいの頭数で、繁殖を行っています。
また、上田尻牧野組合の組合員は14名で、そのうち有畜農家は12件。組合所有の牛舎も2棟あり、給餌係を担当しています。そこでは牧場で収穫した牧草ロールを与え、健康にこだわった飼育を行っています。
阿蘇には広大な牧野があり、飼料となる草資源も豊富。放牧ができる環境です。阿蘇で畜産を営むことは、みなさんが想像されるより手がかからないので、他の人にも積極的に取り組んでほしい仕事です。自分からパプリカ栽培を始めよう言い出したのですが、今はパプリカを両親に任せ、私は畜産に力を入れています。担い手はどんどん高齢化しているので、若い世代としてできるだけ頑張りたいですね。

今後の夢や目標

牛舎での作業風景の画像産山村には水源や草原など、資源が豊富です。大切な資源を守るのは、その土地で生まれ育った者の責任だと思います。
例えば、原野を守るための早春の野焼き。僕たちにとっては特別なことではなく、生活するうえで必要な作業です。組合員で取り組む区画もありますが、個人所有の山は家族で野焼きをしますから、子供のころから作業を手伝ってきました。大変危険な作業で、火を付ける場所や風の向きなどを知るのは経験が重要になります。
私も、祖父や父から教え込まれた知識や知恵を、次の世代に引き継がなければなりません。結婚して子供が生まれたら、僕から跡継ぎを強要できませんが、父が「継ぐように」と言うかもしれませんね。

  • このページの原稿と写真は公益財団法人阿蘇グリーンストック発行「草原だより Vol.44」より抜粋いたしました。
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