井 正恵

井 正恵さん近影

南小国の仲間と育てた超巨大な「おぐにんにく」で新しい農業スタイルを確立したい

プロフィール

井 正恵(い まさよし)さん/昭和57年、南小国町生まれ。18歳で熊本市内の大学に進学。「20歳で挫折し、南小国町に戻り、小国郷4Hクラブに強制収監されました」と話す。平成17年に百姓いっきの立ち上げに参加。平成21年から「おぐにんにく」の試作に取り組む。「おぐにんにく」は南小国町の「きよらカァサ」で販売中。百姓いっきのフェイスブックでは直販を受け付けている。

きっかけ

ハウス内での作業風景の画像両親はシイタケとホウレン草を手掛ける農家です。私は長男ですが後を継ぐつもりはなく、熊本市内の大学に進学した後は南小国に帰る予定でもいませんでした。一つには両親が「農家の経営は苦しいから、継がせるつもりはない」と言っていたこともあります。しかし、大学で遊びすぎてしまって(笑)、卒業が難しくなってしまったんです。仕方なく一旦、実家に戻りました。すぐに就職先を見つけて出ていくつもりでいたのですが、「帰ってきた」という噂を聞いた小国郷4Hクラブの先輩方に誘われて会合に出席。すぐに役割を与えられて・・・実家にいる間はもちろん農業を手伝おうと思っていたのですが、加えて4Hクラブが黒川温泉で行う朝市などにも参加するようになりました。

平成17年に6人が集まって「百姓いっき」を立ち上げました。〝いっき〟にはいろいろな意味が込められています。ひとつでも輝く〝一輝〟若いパワーで一気に進む〝一気〟一つでも何かを起こす〝一起〟動くことによりみんなに喜びを〝一喜〟農家による農家に対する一揆発動の〝一揆〟。そして活動理念は『農魂注入』です。土地を集約できない中山間地ならではの農業スタイルを確立させることを目標にしています。

 良いライバル

おぐにんにくの画像4Hクラブで会長になったばかりの頃、農林水産大臣賞を受賞しました。しかし、これは前会長や先輩方の頑張りのおかげ。私が会長として受賞するのはずるいと思ったのです。あいつが会長で良かったと思ってもらえるような仕事をしたいという気持ちになったのが転機かもしれません。

また、熊本県が主催する「熊本農業経営塾」に参加したこともきっかけでした。県内から集まった受講者はすごいことを考えていると触発されました。そこで、地域を巻き込んで活動する大切さ、地域全体で儲かる仕組みを作ることの大切さを学びました。各地にできた仲間とは今も交流があり、良いライバルが出来たと思っています。

今後の夢

くまもと食農ネットワークの祭典と広報活動(ラジオ出演)の写真南小国町は冬季に空くハウスが多く、この時期に農作業の片手間でも活用できる作物を育てたいと考えていました。そこで、アメリカ原産の世界最大級のニンニク「エレファントガーリック」があることを知りました。一般のニンニクの10分の1ほどしか匂いがなく、大きさは約4~5倍。インパクトは絶大だと思います!糖度は30~40度と高くて甘く、ジャガイモのような食感でまるごと食べても美味しいんです。
私は負けず嫌いで、人と同じことはやりたくない。『おぐにんにく』は直販していて、自分で値段がつけられる点にやりがいを感じています。生産計画も立てられるようになり、規模拡大の計画も立てられます。現在、7色のレインボーにんにくを開発中です。

『おぐにんにく』を売るのが今の私の使命です!今後はもっと種を増やし、南小国の飲食店や旅館でも食べられるようにしたい。町に人を呼べるような特産品に育てたいと考えています。

  • このページの原稿と写真は公益財団法人阿蘇グリーンストック発行「草原だより Vol.56」より抜粋いたしました。
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