工藤 壮一・豊子

工藤壮一・豊子さん近影

野菜栽培から始まった農家レストランと民宿で阿蘇の魅力を伝え続ける

プロフィール

壮一さんは昭和10年、豊子さんは昭和12年に、ともに旧久木野村(現南阿蘇村)に生まれて育つ。壮一さんは菊池郡大津町の企業に勤め、豊子さんは家庭奉仕員(現ホームヘルパー)として勤務。定年退職後の平成15年に「農家レストラン万作」を開き、翌年に農家民宿をスタート。結婚して53年が経つ今も、いつも2人で仲良く一緒に過ごす。

きっかけ

農業体験の写真2人とも旧久木野村(現南阿蘇村)に生まれて育ちました。勤務先を定年退職した後に、減反政策で余っていた畑で自家用として野菜を育て始めたんです。元々、水稲をはじめ、兼業で農業を続けてきてはいたのですが、2人でいろいろな野菜を植えるようになったらどんどん楽しくなってきました。でも、旬の時期には同じ野菜が食べきれないほど収穫できるでしょう。捨てるのはもったいないと思っていたころ、南阿蘇村役場の方から農林水産省が農家レストランを推進しているから、始めてみてはどうかとお話をいただきました。営業の許可を受けるまで、一年ほどかけて自宅の改装などを行って準備し、平成15年に農家レストランを開きました。続けて、熱心に「民宿もやってみませんか」と薦められたんですよ。その熱意を受けて「やってみようか!」と決心しました。

伝えたいという気持ち

阿蘇に伝わってきた郷土料理を知ってもらいたい、伝えたいという気持ちで調理しています。料理が好きで、以前は料理教室を開いていたこともあるんです。畑では20種類ほどを育てています。ピーマンやナスなどは、苗から栽培することもあります。露地栽培ですから旬のものばかり。手をかけて育て、収穫した野菜を見ているうちに、どんどん料理の品数が増えていくんです(笑)。煮しめやきんぴら、きんとん、白和えなど、手作りが基本なので、朝早くからてんてこ舞いして準備するのは大変ですが楽しいですよ。
食事をされた方からは「本当の野菜の味がする」と喜んでいただけることが多いですね。野菜を育てる際の楽しみ、励みになっています。

今後の夢・目標

ファームステイに訪れた修学旅行生との写真 修学旅行生の受け入れは役場から依頼があり「阿蘇グリーンストック」のグリーンツーリズム事業の企画を受けて始めました。
来てくれた子どもたちにも、阿蘇の魅力が分かってもらえると感じていますし、ここで体験したことは一生忘れないでいてくれるでしょう。ですから、ファームステイの受け入れだけはずっと続けたい。全国に家族ができる仕事ですからね。交流が続いて、また阿蘇を訪ねてくれるといいですね。

ここに来てくれた人は皆、家族の一員だと思っています。最初は緊張している子供達も、農業体験をするうちにすぐに打ち解けてくれ、賑やかに過ごしてくれますね。1泊だけと共に過ごす時間はごくわずか。ですが、帰る時に「大人になったらまた来てね」と言うと、皆が「ハイ!」と返事をしてくれます。中には泣き出す子もいるんですよ。阿蘇の私の家に来てもらったことが有り難いという気持ちが伝わったようで、本当に嬉しいですね。
私たちは2人で1人前だと思っているので、今後も相談しながら仲良く、今までと同じように受け入れを続けていきたいと思っています。

  • このページの原稿と写真は公益財団法人阿蘇グリーンストック発行「草原だより Vol.55」より抜粋いたしました。
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