サイフォンとは、ギリシア語で「チューブ、管」の意味です。かつての阿蘇市小里地区は、取水が困難な地域でした。そのため、周辺は桑畑かトウモロコシ畑ばかりで、地域ではお米が栽培できる農地にすることが長年の夢だったそうです。そこで、地域の方々により、サイフォン式の地下トンネルが作られたのです。北外輪の麓を流れる鹿漬川の水を、黒川の下をくぐらせ、用水路に放出することで、お米が栽培できる農地へと変えました。先人達の苦労は想像だに難く、その偉業は地域から尊敬され、現在でも水利用者が水田への入水時期から落水(8月)の期間、「水番」としてサイフォン入口に蓄積されたゴミを毎日交代で取り除き、利用されています。