阿蘇神社の境内で豪快に火の輪を廻すことで有名な「火振り神事」。この神事は、「御前迎え」という農耕祭事の最後に行われる神事です。「御前迎え」は、3月の「田作り祭り」の期間中、申の日にあたる日に行われます。国龍神の御妃をお迎えする儀式で、朝から深夜に続く長いお祭りです。
朝早く神職2人と氏子の青年2人が阿蘇神社から12キロメートル離れた赤木地区の吉松神社に向い、眼隠しをして樫の木を選び、姫神をつくります。これは、秘事として見ることはできません。
姫神は真綿、さらには樫の葉で包まれます。阿蘇神社に向う道中、集落ごとに直会が数回行われ、阿蘇神社近くの塩井神社で姫神は清められ、さらに化粧原地区ではお化粧を施されて阿蘇神社へ向います。境内で火の輪に迎えられた姫神が拝殿に到着し、大きな赤い傘の中でご婚儀が行われます。厳粛な秘事です。
婚儀が終ると2人の神様は神輿に乗って宮地の地をひとめぐりし、夜は静かに更けていきます。