阿蘇の草原は、自然のまま放置しておくと次第に森林へと変わってしまいます。野焼きをすることにより、低木を除去し、草の芽立ちを助け、牛馬の飼料に適した草を産する草原を維持することができます。また、草原性の動植物の生存や、草原景観の維持にとっても大切な役割を担っています。そのため、野焼きは草原の維持に不可欠な作業の一つであり、毎年、春の彼岸の頃に一斉に行われることから、春を告げる阿蘇の風物詩といわれています。
一方、野焼きは、大変危険な作業です。火のつけ方によっては大惨事となる可能性もあるため、野焼きでは、経験豊かな人が風向きを判断し火をつけます。また、近年では、農家の減少により、野焼き作業が困難になってきており、年間約1,000名のボランティアによって野焼きが持続され、草原が維持されています。