阿蘇の草原とあか牛を守り、伝えていく使命
基本データ
・所在地:南小国町
・構成員:5名
・飼養形態:繁殖肥育一貫経営
・飼養頭数:41頭 うち放牧頭数41頭
・飼養品種:褐毛和種
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南小国町にある瀬の本レストハウス沿いの道を抜け、奥へ進んでいくと広大な草原が広がる。そこは、下山鳥川牧野。そこでは、阿蘇のあか牛・草原牛プロジェクトによって1年を通じて放牧が行われている。
「牧野を残したい」「草原を残したい」そんな想いから、理事の内山彰さんらは、畜舎飼いを行わず、放牧を実践。年間を通じて放牧行うことで牛たちが草原の草を食べ、阿蘇の草原がやぶ化してしまうのを防ぐことにつなげている。
内山さんたちは、そうして育った牛たちを「草原牛」と呼ぶ。
代表理事の橋村さんは、「「草原牛」は、うまみが違う。一般的には、霜降り=おいしさという考え方が主流だが、最近では、徐々に変化してきている。特に若い方が、「エシカル」な食材を重視している傾向がある」と語る。加えて、「(草原牛であることを知ったうえで)あか牛肉の硬さや味を感じてほしい」と語る。
しかし、課題もある。それが、受胎率と増体の伸び悩みだ。
濃厚飼料を与え増体させるのと異なり、基本的に草原の草を食べて育つ「草原牛」は、受胎率が低迷しやすく、体が大きくなりにくいという課題がある。
また、冬場のエサが十分にないことも課題だ。
数年実践してみて出てきたこれらの課題を、いかに克服していくか当プロジェクトでは現在模索している最中である。
だが、やはり内山さんたちの思いは変わらない。千年続いてきた草原。素晴らしい草原を守っていくために、日々模索しながら、草原の活用について一生懸命取り組んでいる。
最後に、消費者へのメッセージをお願いすると、内山さんから、こんな言葉が飛び出た。「牛飼いになってほしい!」と。「草原維持のために、草原を活用する必要がある。そのためには、牛を飼うことが一番だから。(笑)あとは、世の中に我々が作ったお肉が出回っていた際には、是非チャレンジして食べてみてほしい。」と笑顔で語った。
取材日:令和6年12月11日