世界農業遺産としての価値

広がる命

生物多様性と生態系機能

hirogaru阿蘇の草原は、人々が野焼き・放牧・採草を繰り返すことで維持され続けている半自然草原です。

阿蘇には、ハナシノブ、ヒゴタイなど希少な植物が多く見られます。これらの植物は、最終氷河期以降の気候変動で日本列島の大半の地域から消失したものです。九州がユーラシア大陸と陸続きであったことを示す植物も数多く見られます。阿蘇では、野焼き・放牧・採草という人為的な農業活動により草原が維持され、今日まで希少種が保存されてきました。このため、日本国内でも絶滅危惧種が集中している生物多様性ホットスポットの一つとなっています。

高冷地で多雨の気候に適合して、米や夏秋野菜など多様な農産物に加えて、在来野菜も豊富です。

「阿蘇高菜」は、火山性土壌の高冷地という阿蘇の厳しい気候風土が生み出した在来野菜です。そのほか、赤い葉柄が食用となる里芋の一種「あかどいも」、「鶴の子いも」、「黒菜」などがあります。

指定希少野生動植物など

植物

サクラソウ、ツクシフウロ、ヒゴシオン、ノカンゾウ、ヤツシロソウ、マツモトセンノウ、オグラセンノウ、ツクシトラノオ、ツクシクガイソウ、ヒメユリ、ミチノクフクジュソウ など

動物

オオダイガハラサンショウウオ、オオルリシジミ など

在来野菜

阿蘇高菜、あかどいも、鶴の子いも、地きゅうり、黒菜 など